夢現/花形新次
 
クスリと酒の力を借りて
夢現になることで
今日を先送りして
明日を忘れる

幻の中では
あの人は
あの人のまま
涼しく美しい横顔で
微笑んでいる
俺は呼びかけるが
声にならない
あの人は
一度もこちらを見ないまま
立ち去ろうとする
いつもと同じことが繰り返される

ダメだ!と叫んだ
自分の声に
ハッとして目覚める
まだ夜中の2時だ

ソファに座って
これまで犯してきた罪を
数えてみる
知らず知らずのうちに
涙が溢れ出してくる

もう朝まで眠ることは出来ない





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