変わり続ける世界の中にも変わらないものがただひとつある/ホロウ・シカエルボク
けなのさ、命が続く限り、俺は時々じっと目を閉じて永遠の命を願う、人の一生は有限だからこそ価値があるし美しいと訳知り顔の連中は言う、どうしてそう言い切れる?まだ一生すら終わらせちゃいないというのに?輪廻を信じる?魂を信じる?そんなの死んでみればわかるさ、いまはただ、この場所で出来ることを、この場所でやるべきことを考え、挑み続けるんだ、それが正しいかどうかなんてわからない、でもそんなの、ハナから血が騒ぐかどうかで判断する以外なかったじゃないか、夜が来る、妙に色の薄い三日月が御用聞きみたいに雲の間から覗く、俺は家路を辿り始める、この一日を介錯する時間がやって来たんだ、シャワーを浴びて食事を済ませたら、この人生を分解して並べるのさ。
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