接吻/ただのみきや
の獅子に姿を変え少年の頭を咬み砕いて言った
(ライ病院でつかまえて あなたの暴力で柔術で柔術と詩とタンゴで
致死量の真珠になりましょう来世はふたりひとつの阿古屋貝
双子の災厄みたいになって宝石箱から色とりどり血の川を奏でましょう
互いの魂しゃぶりながら世界を妊娠させまくりましょう
ほら繭から真っ赤な夕日が漏れてくる 莢がはじけていのちがポトリ )
丘の上で簪を刺した女がフラメンコを踊っていた
少年は失語したまま意識の液化を感じ ──暗い海の蝶々──
(2925年9月21日)
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