残夏、晩鐘の街並み/ひだかたけし
 
斜光が懐かしく街並みに射し込む頃
橙の色彩のビルの白壁に拡がり
黒い影と対照をなしながら
柔らか燃える果実の如く
濃くなる空の青から浮き上がる

街並み今や濃紺と燃え立つ橙に染め抜かれ
やはらかく吹き抜ける残夏残響の夕風が
家路を急ぐ人々を包み込みながら
自らに気付かぬこと惜しみつつ
また明日を終わることなく貫き覆う
熱風に向け自らを新た整え夕を吸い込み 、

残照の沈みに時の静か今日の終焉を迎えていく

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