淋しさ/りつ
 
桃谷から梅田へ

夕方5時過ぎの壮絶な夕焼けに
何故か泣けてきたんだっけ
声を出さずに泣くのは得意だったから
誰も気づくひとはいなかった
世界を美しいと思ったわけではない
茜色に感動したわけでもない
ただただ、哀しかった
私には帰る場所がなかった
家はあった
だけどそれは灯りのついた
我が家ではなかった
ここではない何処か
名前も知らない町をさ迷って彷徨って
野垂れ死んでも良かった
同じことばを話しても
こころは通じない
記念写真に写るような作り笑いを
?。と見抜くひとはいなかった
ひとは信じたいことしか信じない
そういうものだ

淋しさを覚えたのは
つい最近のこと

それは
固くて青い
レモンの味がした

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