東小金井『オーダー』/北村 守通
は私が答える番だった。
「うん、三十キロ太ったよ。」
わたしは腹を突き出して、ポンっと叩いてみせた。店中に響くと思えるぐらいにいい音がした。
「やめなさい、はずかしい・・・」
と言いながらも、彼の瞳は笑っていた。
「あ!ごめん!待たせなかった?」
「いやいや、俺の方もつい五分くらい前かな、着いたばかりだから。」
「おう、じゃぁ注文はまだ?だったら何か注文しちゃおうぜ。俺、もう腹が減って
減ってたまんなくてさ。」
私はメニューブックを手に取った。一つのテーブルに一冊しか備え付けられていなかったので、私たちはテーブルの上にそれを広げた。
「よぅしっ!決めた。俺、これね。ナポリタン
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