隣人2/本田憲嵩
 
厳しい、
木枯らしに容赦なく吹きつけられて、
まるでうす汚れたページのように捲れあがる、
そのひとつひとつの、
とても白かった羽毛、
無残にもちぎれてしまった、
白い夢のつばさが、
その冷たくなったアスファルトのうえで、
無残にも転がり落ちている、
そこに、
ほほえみを浮かべた、
あなたが近づいてきて、
その羽毛のひとつを抜きとって、
一本の白い羽ペンをあなたはすぐさまに拵える、
やがて、
そのとてもつよい意志のインクと、
そのとても柔らかな筆致で、
その羽毛のページのいちまいいちまいに、
あなたはあえて、
“希望”
と、
書きしるす、
あなたは、
いつだって、
絶望の隣人、
あなた自身の名を、


ほどかれたページのひとつひとつが、
明るい青空へと舞いあがってゆく――



※やなせたかし氏の詩、『希望』のオマージュ。


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