全行引用による自伝詩 01/田中宏輔2
うなら始まりもなく、ただ途中があるだけ」
(オーエン・コルファー『新銀河ヒッチハイク・ガイド』下・第12章、安原和見訳)
「まず基本を教える。小さなことからひとつずつな。ジャグルは、一連の目立たない小さな動作から成り立っている。それをたてつづけに、早くやるんだ。すると、切れ間のない流れのように、あるいは同時に起こっているように見える。同時になにかが起こるなどというのは錯覚だよ、きみ。ジャグルもそうだが、それ以外の場合でも同じことがいえる。物事は、すべてひとつずつ起こるのさ」
(ロバート・シルヴァーバーグ『ヴァレンタイン卿の城』上巻・第一部・6、佐藤高子訳)
そして誰かがナポレオン
(カミングズ『肖像』伊藤 整訳)
服のハンガーが戸棚のなかで、たがいに身を寄せあってうずくまっている怯えたけもののように、くっつきあってぶらさがっていた。
(ハーラン・エリスン『バジリスク』深町真理子訳)
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