全行引用による自伝詩 01/田中宏輔2
 
としても。
(ハリイ・ベイツ『主人への告別』6、中村 融訳)

 人生というものは、簡単に言えば、途方もなく気楽なものである──少なくとも、あてがないことと孤独であることの問題を、このふたつを無視することによって解決してしまえば、しばらくは気楽このうえもない。
(ダグラス・アダムス『宇宙の果てのレストラン』30、風見 潤訳)

「あの女が幸せなはずはないわよ」わたしは断固としていった。
 フィオナは首を振りながら反対意見をのべた。
「幸せなのよ。でも誰かと分かちあえるような幸せじゃないのよね。誰かと分けたら、その価値がなくなっちゃうのよ。わたしたちの幸せは、分けたら、もっと大きくな
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