全行引用による自伝詩 01/田中宏輔2
たまらなかったからなんだ。
(コードウェイナー・スミス『星の海に魂の帆をかけた女』10、伊藤典夫訳)
ある瞬間から次の瞬間までのあいだのことが思いだせない。
(ゴードン・リッシュ『はぐらかし』村上春樹訳)
自分で書いた詩行さえ覚えていないのだ。
(J・L・ボルヘス『ある老詩人に捧げる』鼓 直訳)
あんまり頭がいいほうじゃないから。
(ウォルター・テヴィス『マイラの昇天』伊藤典夫訳)
思い出せないことは、再発見するしかないのだ。
(R・C・ウィルスン『無限記憶』第一部・7、茂木 健訳)
発見するということ以上に、魅力的なことは他にない。
(アンドレ・ジッド『
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