全行引用による自伝詩 01/田中宏輔2
柴田元幸訳)
道に迷ったのだろうか? そんなはずはない。自分を見失わない限り道に迷うことはない。
(カブレラ=インファンテ『亡き王子のためのハバーナ』昼夜入れ替えなしの興業、木村榮一訳)
きっと頭がおかしくなってるのね!
(チャールズ・ストロス『シンギュラリティ・スカイ』死者からの電報、金子 浩訳)
ぼくの発見したところでは、えてして取るに足らない事件のほうが観察をめぐらす機会も多く、原因と結果とにたいして鋭い分析もこころみることもでき、調査していて魅(み)力(りょく)を感じるのだ。大きな犯罪ほど、単純な様相になりがちだ。というのは、たいていの場合大きな犯罪ほど、動機が明瞭
[次のページ]
戻る 編 削 Point(10)