全行引用による自伝詩 01/田中宏輔2
欲望?とか呼ぶものがどこから生まれるかは、だれにもわからない。
(ジーン・ウルフ『拷問者の影』26、岡部宏之訳)
《故郷》がわたしたちの一部であるように、わたしたちは《故郷》の一部なんです。簡単に切り離すなんてできませんわ──
(ゼナ・ヘンダースン『血は異ならず』大洪水、宇佐川晶子訳)
これから成長するにつれ、この子はその細やかで豊かな感情のために、きっといろいろ苦労するに違いないわ。
(ヴァージニア・ウルフ『灯台へ』第一部・16、御輿哲也訳)
ヌートがまだ生きているということに、クリフはもはやまったく疑いを抱いてはいなかった。「生きている」という言葉が何を意味しているとし
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