砂塵のむこう/花野誉
 

道路工事で

職場前の道は渋滞

ブラインド越し見える作業員の人たち

若い人が一人もいない

砂塵と高湿度の靄の中

上下するヘルメット

ドア一枚隔てたこちら側は

冷房が効く待合室

居心地の悪さを感じつつ

ただ見つめるのみ

そこに入ってきた患者様の怒声

「道路工事で道は混むわ、車が駐車場に入れ辛いったら!」

─我らのインフラ整備の為ですよ!!

と、強く応酬する

幻の己が目の前に

実際は苦笑いで返しただけ

帰り道

「おつかれさまです」

小さな声ですり抜けた

















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