野火/guest
 

道端で
なんとなく
人が死ぬ
王様の心を護る為

なけなしの理性で

戦火
人が燃えて死ぬ夜にも月は輝く
怖かったのだ
眩し過ぎて誰も何も見えない

目が覚めると中世は過ぎていて
懐かしいねと友達が目を細めている
皆自分が王になるつもりだったんだろうな
でももう奴隷も主人もない

とっくにそんな時代は終わった
何も見なくていい
何も見なくていい
静かに時が私の傷を癒す

まだ街は煌々と燃えている
あすこにも誰かの家族が居るんでしょう
指を差すことすら出来ずに
ただ、茫然と見ているその先で、火は全てを嘗め尽くすまで消えない

空の上に天国があると聞いたから羽搏いたわけではなかった
怖かった
人が人の死を望む
いつからこうなってしまったんだろうと考えることもない

菓子パンをかじりながら、なんとなく昔の恋人に殴られた時のことを思い出す
愛してるとか言ってたっけな、俺達
かみさま、かみさま、と
天使はその名前を呼ぶこともとっくに忘れていたのに、俺達

祈ったんだ
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