机の上に射し込む光の川/道草次郎
と」を増やしていく。
曖昧を曖昧のまま抱え、やがて時間に溶かしてしまう。
ただ一つ、輪郭をもつ思いがある。――この「わからなさ」こそが自然な流れなのだ。これからも、ますます増えていくだろう。
会議を少し遅らせてしまったことを詫びて席に戻ると、気まずさが漂った。
さっき口にした文学の固有名詞が、蛍のように場違いに光っていた気がして、一気に恥ずかしくなる。
ここは本屋から遠く離れた場所。
けれども、カーテンの隙間から差し込む光が、机の上に静かな川を描いていた。
その川は、一瞬だけ、言葉よりも雄弁だった。
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