クリームソーダ/ミナト 螢
ふいに立ち寄った喫茶店のBGMが
雨の音に負けて壊れていく
嫌な事もなければ
良い事もなかった
今年の夏に
折り目を付けられないまま
クリームソーダを飲んでいる
弾ける泡に
何を浮かべても
夢など見れないと
どこかで悟っていた
瞳の色が夜に変わり
塞いだ気持ちを
掻き混ぜる
このまま寂しさを
通り抜けたら
どこへ辿り着くのだろう
這い上がるだけの力はなくても
漂っている今が丁度良い
小説みたいに
泣いたり笑ったりして
砂漠を崩すような
生き方は出来なくても
バニラアイスが溶けるまでに
さくらんぼを食べなきゃな
紙ナプキンで種を包んだ時
心が守られた
何だかそう思えた
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