瞑目月下の瞬き/ひだかたけし
時の留まる瞬間の開け
ゆっくりと飛び込み
沈んでは深く深く
舞い上がり高く高く
拡がり抉り尚も拡がり
鋼の意識を保ったまま
ほらっ、
昇る月の真ん丸へと満ち充ちて
黄白く微笑みのやはらかに
深く高く自らを保ったまま
覆われ培われ匿われて
熱狂も幻滅も無くなれば 、
真っ直ぐ前へ伸び拡がる意識の
いつの間にか後方から戻り来る
夜陰、天空の無限遠点を通過し円環成し
☆
自らの拙い願いやら悲しみやら
夜風の熱に乗せて吹き流させ
あゝ今に充ちる現の月の
するり滑り昇りいく
天空に寄り添い
外から見入る
己の肉身、
白銀の光に包み込まれ
一塊の他なるものとして
ベランダに立ち 、
オノレ独りでやれる全てを
充ちる月下に委ねる
?
意識の私が真に何かを欲すれば、
その何かは内なる私そのもの
無意識の深みへ沈み込み生き出して、
気付けば外からその何かが近付き
ふっとわくわく、それ 手の内に在る。
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