図書館の掟。/田中宏輔
 
詩人たちによる
 すぐれた作家たちによる朗読大合唱なのだ。
 大共同制作作品なのだ。
 ウェルギリウス、シェイクスピア、ゲーテといった詩人たち
生きているときに名を上げた詩人たちは死者として図書館にいる。
 生きているうちに名を上げなかった詩人たちがいないのだ。
 もしも、彼ら彼女らが死者として図書館にいてくれたら
 後の世に名を上げた詩人たちが死者として図書館にいてくれたら
 彼ら彼女らに、どれだけ美しい詩を聞かせてもらえるか。
 それに、もしもできるものなら
 わたしが引用した
すべての死者たちが一堂に会した
 大朗読コンサートが開催できるかもしれないのだ。
[次のページ]
戻る   Point(10)