極楽行きの切符/杉原詠二(黒髪)
極楽はもうすぐ
簡単にはたどり着けない
焼け爛れた回廊を抜けて
信が浅く、ゆえに堕ちた
本当に救われるかどうか
救いを疑えど
死を選ぶことはなかった
鬼どもには好きにいたぶらせておくのが利巧
抵抗するほど喜ばせる
だがわたしはたったひとりあの人のための男なんだよ
最も愛しき人に
合わせる顔を立てるために
不合理でもなんであっても
やらねばならんのだ
反抗には理由があるんだ
愛へ誠実であるために
どんな不条理にも打ち克つんだよ
好きな女の前でくらい
男をみせるんだよ
極楽へ行くと同時に覚る
それがわたしのさとりなのだ
そして愛が永遠に続く
残された人生で
地獄の苦痛の向こうで会いたかった人に会える
したかった学問が出来る
この世もまた花盛り
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