MEMBRANE「”境界溶解”―― 変容の螺旋」として12片/あらい
 
せて、内と外の区別をわざと腐らせておく。母体という他者の息吹が、こちらにまで滲んでくるとき、あなたはまだ「わたし」ではない。湿った潤むまなじり、熟れたまなざし。それらが等価に存在する場において??

 いまだ定かでないものたちの気配を、濯ぐとは、汚れを除くことではない。泣くことは、われたのではない/ひらいただけ、再び呼吸できるようになった、いまや膜は生きている。自己という個は未発生のまま、ただぞんざいに茹だっている。名付けの前に在るその名前たちが、水中で発酵する。その状態こそが羊水??世界の入口でありながら、名を持たない出口として。それは洗い流すのではなく、乾くための時間とする。零れることを恐
[次のページ]
戻る   Point(3)