まだ、夏の中で/
花野誉
きっと もう来てるけれど
秋の気配を
まだ感じさせないで
職場へ向かう道すがら
広い空地は雑草の森
鈴虫合唱が右側から覆ってくる
自転車のスピードを上げてすり抜ける
胸にツンと込み上げる感覚に
もっていかれそうになりながら
まだ少し待って、と振り払う
この暑さの中で これは違う
鈴虫さんたち待って
あともう少し 静かに
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