夏帰り/トビラ
 
え? いや、そんなことは、……あるかな?」
 「あるんかーい。でもま、私も一度行ってみたかったし、ちょうどいいや。一緒に萌え萌えキュンとかしようぜー」林さんは胸の前に手でハートを作って笑う。
 「もしかしたら、及第点以上の場所かもしれないよ」
 「ね、そうかもしれないね。意外に、ね」
 「そう、意外とね」

 廊下を出るとムワッとした熱気が押し寄せてくる。でも、たぶんこれは、いい夏の始まりだ。
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