万華鏡/秋葉竹
振り向いてしまえばいい
振り向いてしまえばいいだけなのに
振り向いてしまえないのがもどかしい
君の瞳のなかにキラッキラの
万華鏡がみえるのがわかるから
世界はこんなにトゲトゲしいから
まばたきをするたびに
心に傷が血を流しつづけるんだね
君は真夏の夜でもじぶんを抱いてた
闇堕ちした彼女の
友だちだった君の
許せないほどやるせない想いが
瞳をガラスにしてるんだね
でもね
実は
真夏の匂いを嗅ぐ僕は
雨が降るまえの匂いも嗅げるよ
だから少しは
君の香りの闇属性も知ってるんだよ
笑わずに暮らした時間が
遮二無二こぼした欲望を固めてしまい
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