COME TOGETHER。/田中宏輔
 
不尽な、とか、不条理だ、とかいった言葉を思い浮かべながら、窓の外を眺めていた。自分のみみっちさに、しゅんとして。


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コーヒーカップを手に、窓の外を眺めながら、たそがれて。あ〜、軽い、軽い、と、コーヒーカップをくるくると回しながら。


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ふつうに、論理的に言及するならば、あるものが新しいと認識されるまで、その認識に必要な蓄積がなければなされ得ないような気がする。数学や科学理論について思いを馳せたのだが、芸術もまた、歴史的にそういった経緯を持つに至ったものについて想い起こした。


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芸術の基盤は幻想だと思う。供給する側についても
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