COME TOGETHER。/田中宏輔
 
って歩き出した。


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小学校のときに、ゆりの花のめしべの先をなめてみた。なんか、自分のものに似ていたから、てっきり、おしべかと思ってたのだけれど。ぼくが23才のときに付き合ってたフトシくんちに遊びに行ったとき、まだ会って2回目なのに、「おしり、見せて。」と言われて、「いやだ。」と言った。


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文学の醍醐味の一つに、一個人の言葉に接して、人間全体の言葉に接することができるというのがある。それは同時に、人間全体の言葉に接して、一個人の言葉に接することができるということである。ここで、「言葉」を「体験」といった言葉に置き換えてもよい。


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