COME TOGETHER。/田中宏輔
 
だけが、詩の芳香を放つことができる。


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10年ほどまえかな、トラックに轢かれそうになったとき、脳の働きがすごくアップして、瞬間的にトラックを運転していた人間の表情や、向かい側の横断歩道にいた人間の表情を目視できたけれど、すばらしい詩を見た瞬間というものも、それに近いなと思った。


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そしていま、自分の頭のなかに、バーッと、言葉の文字列の大きさ、音のバランス、意味の相互作用がいっきょに思い浮かび、詩の情景として存在することになる瞬間もまた、あのトラックに轢かれそうになった瞬間に酷似しているということに気がついた。「思い浮かび」は、「思い出し」でもよい
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