詩の水族館/ハァモニィベル
 
の支流に山女魚(ヤマメ)釣りに出かける
山女魚は、全く意想外の処に住んでいて、みな急流である。
或る日、六寸位の山女魚が、上流を向いて、じっとしているのを見付けた。
「駄目だよ。釣針が出てるじゃないか」皮肉な奴だ。私の顔をじっと見上げる。
「よし、それじゃ智慧較べだ」私は餌を取り替え、釣針の先きを隠した。
蚯蚓(ミミズ)が、溌剌としてピリピリ尻尾を振っている。奴も食わんわけには行くまい
「可笑しいな?、どうしたんだ」蚯蚓(ミミズ)は針の処だけ残して食い去られている
私は、いっそ竿で突いてやろうか、とも、考えた。
が、そもそも、魚釣りと云うものは詐欺なのだ。憤るのは
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