詩の植物園/ハァモニィベル
 

すごく澄んで清らかな色だ 
水で洗ってもよごれの落ちない この悲しみを捨てに行こう
手あかのついた悲しみを あすこに捨ててこよう 〈順〉



こゝろ無き歌のしらべは 一房の葡萄(ぶどう)のごとし
なさけある手に摘まれて あたゝかき酒ともなるらむ
おほかたは噛みて捨つべき うたゝ寢の夢のそらごと
されば落葉と身をなして 風に吹かれて飜(ひるが)えり
ひとりさみしき吾(わが)耳は 吹く北風を琴と聴く 〈藤村〉










※ ※ ※
◆『詩の博物館』の続編です(と言っても、こちらのがエピソード1なのかも知れませんが)。注記は『博
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