詩の植物園/ハァモニィベル
いろうすき日のしたに
草むらふかく涙ぐむ 〈朔太郎〉
野の秋更(ふ)けて、露霜(つゆしも)に
打たるるものの哀れさよ。
また雑草のうら枯かれて 斑(まだら)を作る黄と緑。
どの玉葱(たまねぎ)も冷やゝかに 我を見詰めて緑なり。
余りに白きその皿を 寒し、痛し、と憎むなり。〈晶子〉
やぶれたこの 窓から 美しい夢をみた
そらを指す樹(き)は かなし
そが ほそき 梢(こずゑ)の傷たさ
あの雲のあたりへ 死にたい
そして 宇宙の こころを彫(きざ)みたい〈重吉〉
まるい地球を 眼下に見おろしな
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