悪人と善人/こしごえ
 
善く生きたい
と思うということは、
私は悪なのであった。
だから私を
悪く言ってもそれは当然なのである
だから私は
謝ってばかりだ
何かと至らない私で
ごめんなさい


蜩の、かなかなかなかなかな・・・・・・、という
歌声が好きだ
蜩には
悪ということは無い
人間とはちがうのだ
蜩は
今年も
夏から
秋に
掛けて
歌を
歌っている
いのちの歌を

忘れ去った何かを何かと思う
そこに
私の善があるのかもしれない
いいえ、
悪と善は、
複雑に私と共にあるのです
そして
悪は悪に 善は善に
それぞれ肯定される
こころなんです




 ※ 初出 2025.08.12 日本WEB詩人会
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