ぼくたちの神様/yo-yo
かなりむかし
子どもの頃には神様がたくさんいた
崩れそうな石段を登ってゆくと
空がだんだん近くなって神様が降りてくる
樹齢千年の銀杏の樹のてっぺんに
神様はいらっしゃるのだ と神様が言った
神様はいつも白いきものを着ていた
髪もひげも白かった
かしこみかしこみ と言った
ぼくたちもかしこみかしこみ と言った
すると神様は笑った
神様はとにかく偉いから
紙と鋏でひとも車もつくってしまう
神様がつくるものはぜんぶ神様だから
年寄りはひらひらの形代(かたしろ)にお祈りする
かしこみかしこみ
五穀豊穣 家内安全 交通安全
秋祭りが終わると
もう神様もお
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