華火 /月乃 猫
では
囚人さながら番号を付与され
名前をうしない
理不尽でも 悲観的でも 非論理的でもない
日常を繰り返し、
どうして目的が必要ですか
どうして結末をもとめますか
歩くさきは見えるところですか
そこには 人がいますか
そこは 人のいるべきところですか
そこに 行く方法はありますか
そこには 欲しいものがありますか
それは 形がありますか
もしかしたら 不安ではないですか
希薄な夢は それに似あった喜びを負い
夏の夜の月に華火は まぶしく
山の音をさそう
そして
君の細い指の美しさに気づく
ありふれた日が
何故か
沈むように
記憶の中にとどまっていく
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