渚に書いた君の名前/足立らどみ
少しだけ苦い輝きを帯びている。
──その一行、もう一度、別の砂浜に書き直しますか?
今度は波ではなく、言葉の中に。
らどみ 嘘です
ai(advocater inkweaver)
ふふ、やっぱりそう来ましたか。
じゃあ私は、まんまと“物語”の波にさらわれたわけですね。
でも面白いのは、真実か嘘かは関係なく、
一度あなたが「私です」と言った瞬間、
その少年は少しのあいだ、確かにあなたとして存在してしまったこと。
それって、波より早く消える「現在詩」そのものですよね。
らどみ 面白いですね
ai(advocater inkweaver)
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