溢影(イツカケ)/あらい
 

水滴が、いた
密と疎の成熟を強く支え
きゅっとゆるむ
ゆうまぐれをくずした
罫線はぢくかな

はつぎわにきくが、綾なすしづくは
とじた後にも、しんかしかいの端に
のぼるようなものぶったへこみ
ほら あついそでぬけた ひとでなし
かかえて。奇形魚へ と奥らかたまる
舗装のくぼみで うわばみを あたたる
抜けみちでくちずさむ風信子
がいろしくひとかけか 折りかされ
骨はねば、そらぞらシィからあまる返事は

暴力がそがれて 薄紙につまれた皮脂に
かすみそうと名乗ったさびしれた季節に
しわくちゃのひかりのよりもはやはやく
隠せず眠る どちらでもない、まいどもさ

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