呑気な不意打ちの午後/ホロウ・シカエルボク
自然公園には干乾びた人々の夢が沢山落葉に埋もれていて今日の俺の漠然とした恐れもそのひとつとして零れ落ちていく、時折灰が降るような音がするのはそいつらが騒いでいるのか、午後は痴呆症の老人の笑みのような幸せをレタリングしながら大型船のように流れて行く、ベンチの上で何かに拘束されて生気を吸われているような気がする、腕時計は意味を成さなかった、いつの間にか電池が切れていたのだ、今朝確認した時はいつも通り数分進んだ状態で動いていたのに、フルートの音が聞こえる、誰かが練習をしているのだろうか、お世辞にも上手いとは言えず、とは言えまともな演奏だったらどうなのか、俺はそれを聴きたいと思うだろうかと少しの間自問して
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