〈根源悪〉の原体験/異邦の恐怖──生かされ在る際に/ひだかたけし
の名前をひたすら反芻しながら
半狂乱にナッテ脱出口を探す
逃げなければ
かれらから逃ゲナケレバ!
*
気付くと私は、廊下にうっ伏している
両手を合わせ握り締め伸ばし荒い息を吐きながら
)どうしたの、たけし?
急に頭上から声がする
母親のいつもの優しく柔らかな声
途端、私は理解してしまう
)この人にはボクの恐怖は絶対分かってもらえない
同時に、
救いようのない絶望感が私を貫く
肉を魂を貫く絶望が
自我霊性迄及ぶ絶望への絶望が
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