殉血/りつ
 
黒髪の乱るるままに
   くちづけを
     深く交わした 遠き海鳴り


風交じり 雪降る朝の
   ゐ寝られず 寝ずして待つる
     帰り来ぬ明日


「アイしさ」に 寝顔をなぞれり 溶け融けて
   つららつらぬき 月は凍れる


にい雪に 紅き血潮の罪ひとつ
    消し給ふなと 聴かぬ落日


朝焼けの 雲を弾きて といといと
    君の殉白 我の殉血

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