悪魔さん/印あかり
 
幸せになったら
地獄へ飛び立つための羽は退化して
心の中にしか生きられない花は枯れる
毒を放つ、世界一綺麗な花

「じゃあ、
わたしはしあわせになってはいけない?」

「ううん、
そんなことはないよ」

優しい目で悪魔は言う
横目で次の獲物を探している

「じゃあ、またいつか」

悪魔の立派な羽が
空を切り刻みながら飛んでいくのを
ずっと、ずっと見て
そのうち眠りにつきました



戻る   Point(2)