自称詩人/花形新次
カーテンを閉め切った
黴臭い部屋の中で
俺は自分の人生を
振り返っている
あの頃思い描いていた未来は
そんなに輝かしいものでは
なかったけれど
まさかこんなに侘しいものだとも
思っていなかった
インスタントコーヒーも
残り少なくなってしまった
吐き出したい言葉も
涸れてしまった
それでもこの世界の片隅で吐く
言葉にもならない
俺の浅い呼吸が
誰かの心に届くことを信じている
自称詩人はいつまでも
自称詩人のままだということは
分かっている
成功者達の正論に
嘲けられることも
覚悟している
けれど俺は自称詩人であり続ける
他に道はないから
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