原点/
りつ
こんなものを寄越せという
あなたは嫌い。
どうせ泣くのは私なのに
※
大人なら一跨ぎの溝
ちっぽけな溝
だけど幼い私にとっては
死の川を飛び越えるようなもの
歯と頭蓋骨が砕ける衝撃に
脚が震えた
怖さが粘着質な触れるほどに濃い空気となって
私を雁字搦めにした
泣きじゃくりながら家に帰ると
支配者は泣くなと命じた
私はこくりと頷いて
私自身を封印した
怪物のような恐怖を
戻る
編
削
Point
(5)