神影/積 緋露雪00
ゐるのだ。
それならば、闇を信仰の対象にすればいいのであるが、
既に人間は闇を信仰の対象としてゐて、
然しながら、それは光あっての闇でしかないのだ。
しかし、それは偏向した神に対する接し方で、
闇そのものが主神である宗教体系が作られなければ、
人間が神に近づくなど烏滸(をこ)がましいと言ふものだ。
その時、お前は作麼生(そもさん)と言ひ放ったので、
俺は思はず説破と応じた。
――何故に人間は闇を畏怖したのか。
――畏れ多いからです。つまり、人間も闇が神でしかないと言ふ事を本能的に知ってゐて、それ故に神を疎んじたのです。何故かと言ふに、神は戦好きと来てゐるから手に負へ
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