いまだに詩なんて書いてるからだよ/はるな
て、気を抜くとすぐに地下鉄に乗せられてしまう。降りなきゃいいのに、わたしの足はいつも改札を通り抜けたがるので。どうして大丈夫って言ってあげられなかったんだろう。君のこと好きだった、浅はかで、弱くて、強欲で。かんたんに傷ついて、すぐ星を飲み干してしまう。歩いて歩いて日本橋、古い欄干を撫でてうっとりする君のこと好きだった。街はいまでは暑すぎて、十歩を一歩に縮めてく。どうして正しくいようとしたんだろう。そんなになぜきちんと泳ごうとしたんだろう(できないのに)?だって生まれ育った街には海がなくて、いつ落ちても(君といっしょに)泳いで岸に行けるように、あの水族館の分厚いガラスがいつ割れたっていいように、ひっしに準備してた。どこにだって行けるように。でも、東京駅にも上手につけない。飛ばされてる間にわたしが考えてることは、(いまだに詩なんて書いてるからだよ)
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