蟷螂の瞳/秋葉竹
 
狡いことをやった夜も

あるが、それさえ赦せるほどの
ただしさがあると想ってしまった

心から、
心の奥深い想いから、

ただしく生きたいと、想う

間違いだらけの過去なんて
所詮過去だから、
これからの話をしているだけだから。

ただしく、生きたい

今更なにをどうしたいわけでもなく
天国へ行きたいとか
心安らかに死にたいだとか
そんな宝石みたいな綺麗な希いじゃなくて

ただ、
ただしく、生きたい

それをしたから、なにになる、だとか
それをしなかったら、後悔するだとか
そんな砂でできた想いなんかじゃくて

ただ、
ただしく、生きたい

わからないけれども、
ただ、
ただしく、生きたい
と、
そう希わずにはいられない

ただしく、
ない、

じぶんが、
空をみあげて
足掻いている

まるで蟷螂みたいな
悲しみを、
知りながら、
ただしく、生きたい、
と。








戻る   Point(2)