零は零れる/
塔野夏子
零は零れる
存在と存在のすきまから
消滅と生成のすきまから
音も立てず零れる
零という名で囲われた
自らの内の虚無へと
絶え間なく零れる
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誰もそれをとどめることは
できないけれど
限りなく零に近いものたちが
零れ落ちゆく零のまわりで
ひそかにやさしく囁いている
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