雨宿り/岡部淳太郎
 

僕等はそんな状況を意外なほどに楽しんで
そこの軒下に二人で佇んで
雨宿りをしていたね

それはとおい日から
この星が生まれた頃から 何度も降っては止んで
止んではまた 降っていたような雨
それがあの日 ああして降っていたことに
僕等は不思議な懐かしさと安心を感じていたね

あれから人も僕等も 少しは変ったのかわからないけれど
いまあの日を思い 思い だすことに
とおい靄のような思いを感じて
相変わらず迷ってしまう僕等だけれど
いまあんな雨に遭ったら
どうすればいいのか
あの頃と変らず ちっともわからないけれど
雨の情景はいつだって懐かしくて
それでいて どこかひりひりしているんだ

あのとおい いつだかわからないぐらいにとおいあの日
突然降って来た雨から逃れて
僕等は肩を並べて
雨宿りをしていたね
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