慈雨に消える/這 いずる
くて
大雨の日に出かける
露の先に南国が
雨だれと混じり流れて消える
排水口に多く流れ込むきらきらが
ひとすじひとすじ大雨って
大雨って言ってる
君の涙雨だったらいいなって
純粋な祈りも
どんより淀んで水に流れる
君が私を呪うから
大雨だ
私も流れてしまえば
ここに居ても違和感はないのだろう
出会わなければこんな気持ちに
ならなかった/なれなかった
さみしく悲しく君は
君は一足先に南国へ行ったから
大雨が何度めか洗い
流れていった約束は
私しかもう覚えていない
声は忘れた
顔はおぼろげで
約束だった南国へ行かなきゃ
七万円のチケットを予約した
ぎりぎりの生活よりも
早く南国に行かなきゃいけない
じゃなきゃこの先君の面影と呪いに
悲しみながら暮らすのだろう
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