あめふらし/あらい
残るのはからっぽの部屋と、開かれた扉だけが、正しい それでもいま、ここに 破水したのは 空のほうだった みっつ折りのまま 寝返りを打つ 網のあいだで、骨が増え うしろむきにあったような 子宮の根を張っている
むしろ、ぬるい風は、すでに古びてしまった なかったほうの干潟が 吸い込むたび 滲み出ていく 「それなら永遠にとじたまま」と鍵穴が笑い 「あけなくてもいいの」と砂嚢が答える 「あけてもいいの」と朝焼けが囁く
急に、なにもかもが語彙になりすぎた 百の瞳が埋め込まれた夜の内側で、ユスリカ!ユリイカ!って言ったの。しぃ、というかけらがぱちんと立てた 指先で拾いあげるinlay 覗き
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