夜明けの骨/花形新次
 
君の声が 裂けた大地の脈をうち
まだ名を持たぬ花弁は 血のように散った
街は瓦礫の海だ 線路は剥きだしの蛇となり
遠く 人間の泣き声は 黒い太陽に噛み砕かれている

夢をひとつ 君が投げた夜
俺は生肉のように 燃えさかる人間だった
ひび割れた窓を喰い破り
星の骨をむさぼる獣になった

痛みは笑い 笑いは傷の連なり
ひとりぼっちの神が 俺の口から血をこぼす
それでも君が嗤うなら
俺はこの世界を 何度でも火の中へ投げつける

夜明けはまだ来ない 来ない
忘却の刃を砕くため
誰も読むことのない手紙を
俺は 夜明けの骨に 叩きつける

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