花のためのエチュード/ハァモニィベル
 
華が人知れず馨る夜
星と風が生まれて、通り過ぎる。

星がいつも見つめているのは、
長く続いてる一本の道で

風がまだ心に抱いているのは、
雨の降りやんだばかりの道だ。

風の声と、星の光りが、届く場所にずっと
そっと 人知れず馨る華が咲いている 

昨日流れた時間が 
また今日も流れている気がして

いつも昨日とおなじ今日にばかり出会い
明日にめぐり逢った事がない

明日はいつ来るのか と
華は人知れず馨りながら 思った

葉を揺らす深い感覚の底で
夜が少しずつ朝になっていく

おおきく揺れる時もあれば
ちいさく微細な揺れもあるが

言葉を揺らす その心の底にだけ
朝がやってくる




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