木は逆立ちをし、闇は闇を止みてしまい、主はパスをお受けになられる/菊西 夕座
絶対真理であったとしても確然として距離は残り
神聖な隙間として知の到達を阻みつづけてしまう
この隙間があればこそ圧倒的な無の支配にも息がぬける
たとえ主がすぐにパスを返して苦痛を与えたとしても
やがて主はふたたびパスを受け孤独を遠ざけてくれる
主から返還されたパスはだれかの痛みや法悦であった
繰り返されるパスの応酬が綾とりのように世界を編み
あらゆる溝を逆説的に関連づけながら自由はほころぶ
戻る 編 削 Point(4)